columnお役立ちコラム

木造一戸建てにもアスベストが使われている?リスクと調査の必要性

2023.11.13

安価で用途の広いアスベストは、高層建築や鉄骨造りの建物のさまざまな部位に用いられてきました。
木造一戸建ても例外ではありません。

特に、アスベストの使用が原則禁止となった2006年9月1日以前に着工された木造一戸建てはアスベスト含有の可能性が高いでしょう。

この記事では、木造一戸建てのアスベストの使用箇所とリスクについて解説しています。記事を読むと、リスク回避のために何が必要かがわかります。

木造一戸建てにもアスベストが使われている?リスクと調査の必要性

木造一戸建てにもアスベストは使われていた

アスベストの使用が全面禁止になったとはいえ、それ以前に建てられた木造一戸建てには使われている可能性が高いでしょう。

アスベスト規制の歴史を紐解くと、最初の規制が1975年、以来、全面的な禁止といわれる2006年まで段階的に規制が強化されてきました。

とはいえ、2006年に施行された内容は、重量の0.1%を超えるアスベスト含有建材の使用禁止あり、ガスケットなどの猶予期間が設けられています。
猶予期間が撤廃されたのは2012年です。

したがって、木造一戸建てでも、アスベスト含有建材が使われた確率は決して低くありません。

木造一戸建てにおけるアスベストの場所と部材

アスベストは天然鉱石から作り出される微細な繊維です。
耐火性・断熱性・防音性や絶縁性に優れ、しかも安価で入手しやすいため、製造業や建築業において多用されるようになりました。

木造一戸建ての場合、屋根材として板状に固められたり、壁の内部や駐車場などに吹き付けられたりしました。
具体的には、下記のような部位、建材への含有が考えられます。

部位 建材名
屋根
  • 建物屋根用化粧スレート
  • ルーフィング
内装
  • スレートボード
  • スラグ石膏(せっこう)板
  • パルプセメント板
  • 珪(けい)酸カルシウム板 第一種
  • ロックウール吸音天井板
  • 石膏(せっこう)ボード
  • パーライト板
外装
  • 窯業系サイディング
  • 建材複合金属系サイディング
  • 押出成形セメント板
  • 珪(けい)酸カルシウム板 第一種
  • スレートボード・フレキシブル板
  • ビニル床タイル
  • 煙突材
  • 石綿セメント円筒

家全体がアスベストに包まれているといっても過言ではありません。
改めて、アスベストの機能性の高さを知らされます。

木造一戸建てのアスベストが生活に与える影響

木造一戸建てにアスベスト含有建材が使われていたからといって、すぐに危険が生じるわけではありません。

通常使用においては建材に固定されているため、アスベストによる健康被害はないでしょう。

しかしながら、アスベストを含む建材の破損や、吹き付けアスベストが露出している場合は注意が必要です。
アスベストが空気中に浮遊している可能性があるからです。

毛髪の5000分の1といわれるほど微細なアスベストを人が吸い込んでしまうと、肺の内部に滞留し重大な健康被害をもたらしてしまいます。

木造一戸建てにおけるアスベスト含有のリスクとは?

木造一戸建ての場合、下記のようなリスクに注意しなければなりません。

・リフォーム時に調査・除去が必要となるリスク
・解体時の除去・処分に別途費用のかかるリスク
・売却時に価格の下がるリスク

それぞれについて解説します。

リフォーム時に調査・除去が必要となるリスク

木造一戸建ての100万円(税込)以上のリフォームは、着工前にアスベスト調査をし、労働基準監督署と地方公共団体に報告しなければなりません。

事前調査によりアスベスト含有が確認されたら飛散防止の対策、あるいは除去のための工事が必要となるからです。

報告義務はリフォームの請負総額100万円(税込)以上と規定されていますが、リフォーム時のアスベスト飛散のリスクは金額に関係ありません。
報告義務がなくても、アスベストには適切な対策・処置が必要です。

解体時の除去・処分に別途費用のかかるリスク

木造一戸建てを解体した場合、アスベストの処理には特別の装備を必要とし、処分も別途工事になります。
下記表は、国土交通省の調査によるアスベスト処分費用の目安です。

アスベスト処理面積 1平方メートルあたりの単価
300平方メートル以下 2万円~8.5万円
300~1,000平方メートル 1.5万円~4.5万円
1,000平方メートル以上 1万円~3万円

上記表の金額に作業員の装備費などが加算されるとお考えください。

売却時に価格の下がるリスク

木造一戸建て売却時にアスベスト含有が発覚すると、売却価格が下がる、あるいは契約が破棄される可能性があります。

不動産売買の際、売主はアスベスト含有の調査結果を飼い主に開示しなければなりません。
開示しないまま売却し、売却後にアスベストの含有が発覚すると「契約不適合責任」を問われます。

木造一戸建てを売却する場合、必ずアスベスト調査を実施し、可能なら除去作業も検討しましょう。

木造一戸建てもアスベスト調査は必要|報告義務との違い

アスベストの使用禁止以降に建てられた木造一戸建てでもアスベスト調査は必要です。
その場合、着工・建築日を確認し、含有建材を調べます。

また、解体・リフォームに関するアスベスト調査報告が義務付けられて以降、報告義務とアスベスト調査のぜひを混同されている方が少なくありません。

アスベスト調査は大気汚染防止法・石綿障害予防規則において原則として義務付けられています。
将来的なリスクを考慮し、できるときにアスベスト調査しておきましょう。

まとめ

木造一戸建てにおけるアスベストは屋根や壁材に固められているケースが多く、日常生活に直接影響はないとされています。

しかしながら、災害による損壊や改修工事によるアスベスト粉塵の飛散の可能性を否定できません。
また、売却時の価値も下がる可能性があります。

先々の不安・リスク回避のために、ぜひアスベスト調査をご検討ください。