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アスベスト調査費用を詳細解説 補助金と適切な業者選びで安くなる

2023.11.29

2022年4月1日よりあらゆる建築物の解体・改修工事に対するアスベストの調査報告が義務づけられました。
報告しなくてよいケースもありますが、アスベスト調査自体はやっておいた方がよいでしょう。

この記事では、気になるアスベスト調査の費用相場と内訳、費用を抑える方法について解説しています。
記事を読むと、アスベスト調査の重要性を認識し、最安での調査依頼ができるでしょう。

アスベスト調査費用を詳細解説 補助金と適切な業者選びで安くなる

アスベスト調査費用の相場と主な内訳

アスベスト調査費用は、書面調査だけなら2~3万円です。。
その後、目視調査・分析調査と続きます。
費用内訳は以下の通りです。

・事前調査費用
・分析調査費用
・サンプル採取費用

それぞれについて解説します。

事前調査

事前調査とは改修・解体工事着工前に行う、アスベスト含有の調査です。
通常、書面調査から始まり、アスベスト含有なしを証明できなければ、分析調査へ進むか、アスベスト含有建築とみなされます。

費用相場は以下の通りです。

調査名 費用相場
書面調査(第一次スクリーニング) 2~3万円
現場調査(第二次スクリーニング) 2~5万円

書面で把握できない場合、過去の施工実績に基づくヒアリングを行い、現場調査を効率よく進めます。

分析調査

分析調査とは、建材のアスベスト含有量の調査です。
定性分析と定量分析の2種類があります。
調査の費用相場は以下の通りです。

分析調査名 費用相場
定性分析 3~6万円
定量分析 3~6万円
定性分析+定量分析 4~10万円

定性分析とは、含有素材の分析であり偏光顕微鏡法などによって行われます。
定量分析はX線回析法による調査です。
すなわち、定性分析でアスベストの有無を調べ、定量分析で含有量が0.1%を超えているかどうかを調べます。

粉じん濃度測定

アスベストの除去作業や解体時、アスベスト含有建材の維持管理の調査および粉じん濃度測定が行われます。
調査の費用相場は以下の通りです。

調査名 費用相場
敷地内環境の総繊維数 5,000円前後
室内環境 5,000円前後
アスベスト除去工事現場の総繊維数 5,000円前後
分析走査電子顕微鏡法によるアスベストの同定 1.5万円前後

それぞれエリア1カ所あたりの費用です。
数カ所ある場合は加算されます。

アスベスト調査費用を安くするには補助金を使うべし

アスベストの調査費用を安く抑えるには補助金の活用を検討しましょう。
以下は国による補助金の概要です。

対象建築物 吹付けアスベストなどが施工されている可能性の住宅・建築物
補助内容 アスベストの調査に要する費用
国の補助額 限度額は原則として25万円/棟

なお、民間の事業者が調査する場合、補助金申請は地方公共団体を経由しなければなりません。
いずれにせよ、地域によって制度や基準が異なるので確認が必要です。

アスベスト調査は解体・改修工事の実施時に必要

2022年4月1日以降、一定規模以上の解体・改修工事についてアスベスト調査の結果を労働基準監督署と地方公共団体へ報告しなければならなくなりました。

一定規模以上とは、解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事と、請負金額が税込み100万円以上の改修工事です。

注意すべきは報告の義務であって調査義務ではない点、だからといって調査しなくてよいわけではありません。
報告義務が発生しない場合でも、工事発注者に対して書面での調査結果掲示が必要です。

アスベスト調査を業者依頼する際の3つのチェックポイント

アスベスト調査を業者依頼する際にチェックすべき点は以下の3つです。

・アスベスト調査報告の実績が豊富か
・アスベスト調査に関する有資格者が常駐しているか
・複数業者に見積り依頼し比較できているか

それぞれについて解説します。

アスベスト調査報告の実績が豊富か

アスベスト調査の実績が豊富な業者は信頼できます。

建築物の解体・改修工事を行う際、労働基準監督署と地方公共団体へアスベスト調査の結果報告書を提出しなければなりません。
丁寧な調査を行い不備のない明確な報告書であれば問題なく受理されるでしょう。
このような実績を積み上げてきた業者は信頼できます。
業者依頼する際には、必ず調査実績の有無・実績を問い合わせましょう。

アスベスト調査に関する有資格者が常駐しているか

2023年10月1日以降、アスベストの事前調査は厚生労働大臣が定める一定の知識を有する者が行うとされています。
厚生労働大臣の定める一定の知識を有する者とは以下のような有資格者を指します。

・石綿含有建材調査者
・アスベスト診断士

また、「日本アスベスト調査診断協会」に登録されている場合も調査可能です。
これら有資格者の常駐する調査会社を選び、適切な調査を実現させましょう。

複数業者に見積り依頼し比較できているか

複数業者に見積りを依頼し、じっくり比較検討しましょう。
参考として、ある解体工事にともなう3社の見積り事例を紹介します。

社名 見積り総額
A社 150万円(アスベスト調査費の記載なし)
B社 125万円+アスベスト調査費5万円=130万円
C社 120万円(アスベスト調査費込み)

アスベスト調査の記載がない場合、問い合わせてみましょう。

まとめ

アスベストの調査費用は建築物の着工年度によって異なりますが、書面調査だけなら2~3万円が相場とされています。
さらに定性分析・定量分析と調査が進むと10万円を超えることは一般的です。

しかしながら、調査を怠るとアスベスト含有建築とみなされ、売却時に不利になります。

将来的な改修・解体工事の負担を考慮すると調査をしておいた方が断然得でしょう。

調査費用を抑えるには補助金の活用と適切な業者選びが重要です。
安価で済ませられるうちに、ぜひ実践してください。